神戸地判 平成14年6月14日 〔敷金70万円 返還34万7655円(敷引28万円)〕
■ 事案の概要 (原告:賃借人X 被告:賃貸人Y)
賃借人Xは、平成7年7月、賃貸人Yと月額賃料7万円余とする賃貸借契約を締結し、敷金70万円(敷引金28万円)を差し入れた。
本件契約においては、敷金の返還等として、「賃貸人は、本契約が終了し、賃借人が賃貸人に対し本件建物の明渡し及び本件契約に基づく債務の履行を完了した後1か月以内に、敷引金28万円を控除した残額を賃借人に返還するものとする。」「賃借人に債務の不履行があるときは、賃貸人は、何時にても、敷金を前提の返還金額の限度内でその弁済に充当することができる。ただし、賃借人からこの充当を請求することはできない。」と約定されていた。
Xは、平成12年12月、本件契約をYと合意解除し本件建物をYに明渡した。Yは、その後Xに対し、敷金から敷引金並びに襖・壁・床の張替え及びハウスクリーニング費用等26万2993円の補修費を控除した15万7007円を返還した。
XはYに対し、敷金は本件契約期間における未払賃料や建物を毀損した場合の修理費用等に充当することを予定して預けたもので、本件数引約定に基づく敷引金28万円の使途及び性質にっいては、本件契約時において何らの説明がなく、契約書にも何らの記載がないから、本件散士約定は不合理であり無効であるとして、敷金のうち54万2993円(敷金70万円から返還を受け″こ15万7007円を控除した額)の返還を求めて提訴した。
■ 判決の要旨
ニれに対し裁判所は、
(1)本件敷数引約定の有効性について
■ 個人的分析(今回、室内の状況及び経緯について不明なため、判断できない内容であるが・・・)
敷き引きの制度を慣習として認め有効とした。さらに踏み込んで、敷き引きの性質を分析している。そのため、敷き引き約定は、その金額が著しく高額であって暴利行為に当たるなど特段の事由がない限りその合意は有効とされ、建物の自然損耗による修繕に必要な費用に充てられものとしてとして認定した。
そのため、修理義務ある毀損等の個所を未修理のまま放して顧みない時は、賃貸人は、賃借人に対し、その不履行によって生じた損害賠償として修繕費用の支払を求めることができるとした、すなわち、敷き引きの存在が、退去時の修繕義務を無条件で免除するものでないと認定した。
さらに、修理義務のある毀損として郵便ポストの取替え費並びに襖・壁・床の張替え、畳表替え及び清掃費用の一部とした。リンクフリー ただし連絡くださいね