東京簡判 平成11年3月15日 〔敷金20万円 返還19万25円〕
■ 事案の概要 (原告:賃借人X 被告:賃貸人Y)
賃借人Xは、平成3年8月、賃貸人Yと賃貸借契約を締結し、敷金20万円を差し入れた。その 後XとYは本件契約を平成5年、7年、9年と更新し、平成11年本件契約を合意解除した。Xは本
物件をYに明け渡した。
Xが、明渡し後、敷金20万円の返還を求めたところ、Yは、引渡時の原状に回復すべき旨の 特約のある平成9年の更新契約により、Xは原状回復費用として、クロス・カーペット・クッシ
ョンフロアエ事費用、畳表替え・襖費用及び室内清掃費用の合計36万5400円を負担すべきであ り、敷金からこれを控除すると、敷金から返還すべきものはないと主張した。
これに対しXは、自然損耗についての原状回復義務はないとして、敷金のうち畳の表替え費 用6300円を除く19万5400円の返還を求めて提訴した。
■ 判決の要旨
これに対し裁判所は、
■ 個人的分析(今回、室内の状況及び経緯について不明なため、判断できない内容であるが・・・)
今回の事例では、判例の要旨を見る限り、原状回復に関するトラブルと更新手続き上の問題点が存在する。特に更新手続き上の問題については、更新手続きにおいて、付加された自然損耗についての現状回復を要求する内容の特約の趣旨を理解せずまた、積極的に説明も行われなかった可能性も指摘される。
その内容が義務を負担する内容であるため、特に慎重を要し、さらに、賃借人の責に帰する内容以外の請求もされている。 賃貸借においては、相互の信頼関係が重要でるにもかかわらず、このような現状である。更新手続きも単純な手続き事項として捉えるのは危険であり、権利・義務関係に抵触する可能性があるときは、慎重に対処・説明されるべきだと思います。
さらに賃借人においても、契約事項であるため,自己責任も問われ、慎重な対応を求められるものと考えます。
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