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原状回復編 |
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賃貸site |
原状回復の問題点 「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」より
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原状回復に関する契約条件等の現状と問題点 |
- 特に法的な規制はなされておらず契約時において、賃貸人サイドから明確な開示や説明がなされたり、賃借人から説明を求めたりするケースは少ない
- 宅地建物取引業法では、宅地建物取引業者が賃貸借の代理、媒介を行う場合、重要事項説明項目として、解約時の敷金等の精算に関する事項の説明が義務付けられている。(なお契約時にその内容が決定していない場合には、その旨説明すればよいこととなっている。)
- 原状回復にかかる費用は、入居当初には発生しないものの、いずれ賃借人が一定に負担する可能性のあるものであり、賃料や敷金などと同様にその内容、金額等の条件によっては、賃貸借契約締結の重要な判断材料となる可能性がある。
⇒ 原状回復の問題は、単に契約終了時だけではなく、賃貸借契約当初の問題としてとらえる必要がある。
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★ 契約についての考え方(判例及びガイドラインから)
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- 契約内容については、賃貸人・賃借人双方の十分な認識のもとで 合意したものでなければならない。
- 一般に、賃貸借契約書は、貸手側で作成することが多い
⇒ トラブルを予防する観点からは、賃貸人は、賃借人に対して、明渡しの際の原状回復の内容等を契約前に開示し、賃借人の十分な認識を得たうえで、双方の合意により契約事項として取り決める必要がある。
- 宅地建物取引業者が賃貸借を媒介・代理をするとき、業者は、賃貸借契約書の作成に際し、原状回復の内容等について、標準契約書やガイドライン等を参考にしてその作成を行い、そのうえで、重要事項及び契約事項として契約当事者に十分説明することが望まれる。
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★ 特約についての考え方(判例及びガイドラインから)
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賃貸借契約については、強行法規に反しないものであれば、特約を設けることは契約自由の原則から認められるものであり、一般的な原状回復義務を超えた一定の修繕等の義務を賃借人に負わせることも可能である。
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裁判判例
- 一定範囲の修繕(小修繕)を賃借人負担とする旨の特約は、単に賃貸人の修繕義務を免除する意味しかない
- 経年変化や通常損耗に対する修繕義務等を賃借人に負担させる特約は、賃借人に法律上、社会通念上の義務とは別個の新たな義務を課すことになる
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【賃借人に特別の負担を課す特約の要件】
- 特約の必要性があり、かつ、暴利的でないなどの客観的、合理的理由が存在すること
- 賃借人が特約によって通常の原状回復義務を超えた修繕等の義務を負うことについて認識していること
- 賃借人が特約による義務負担の意思表示をしていること
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したがって、仮に原状回復についての特約を設ける場合は、以下の項目に注意する必要があります。
- その旨を明確に契約書面に定めた上で、賃借人の十分な認識と了解をもって契約すること
- 客観性や必要性については、例えば家賃を周辺相場に比較して明らかに安価に設定する代わりに、こうした義務を賃借人に課すような場合等が考えられるが、限定的なものと解すべきである。
- なお、金銭の支出を伴う義務負担の特約である以上、賃借人が義務負担の意思表示をしているとの事実を支えるものとして、特約事項となっていて、将来賃借人が負担することになるであろう原状回復等の費用がどの程度のものになるか、単価等を明示しておくこと。
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参考サイト 判例編 「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」より |
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